子供の脊柱側弯症
「カイロプラクティック教育研究団体の3年間に渡る研究によると、軽度側弯症の子供たちに対して行われたカイロプラクティックのアジャストメントの結果、脊柱の側弯が減少したことが報告されました。」
このことを確認するため、元の論文を探したのですが、結果的に上記内容が謝りであることが分かりました。
この研究は、カイロプラクティックによる全脊柱のアジャストメント、Heel-Lifts(靴のかかとを持ち上げることによる矯正)、および姿勢カウンセリングにより9-12歳の軽度突発性側弯症(コブ角※20度以下、その他複雑な症状を持たない)の子供たちを対象としています。
※コブ角(Cobb Angle)は、側弯の程度を角度で表したもので、X線写真から傾きの大きな脊椎の椎体上端と下端の角度になります。(写真参照)
対象者には、全身のX線写真撮影および、1年間に渡ってカイロプラクティックのアジャストメントが行われました。42人が1年間のコースを終了し、フォローアップとして再度X線写真が撮影されました。
結果として、脊柱の側弯が改善されたと判断できるデータは得られなかったと結論づけられています。
ですが、実際には側弯症の角度を無理やり矯正することは、あまり好ましい結果を導きません。
自分がロサンゼルスのクリニックで勤務していた時ですが、側弯症の矯正のために背骨に金属のロッドを入れる手術を行い、その後再び背中や首の痛みなどを訴えて、カイロプラクティックを受けに来る方のX線写真を何回も撮影しました。
残念ながら、金属のロッドなどで背骨を矯正されていると、カイロプラクティックでは手も足も出ません。何も手術が行われていない脊椎だけを対象にするしか方法がないため、できることが限られてしまいます。
一方で、20度を超えるかなりの側弯症の方でも、定期的にカイロプラクティックのケアを受けている方は、X線写真では驚くほど曲がっていますが、手術を受けることなく体調を維持している方を何人も見ました。
カイロプラクティックでは、突発性脊柱側弯症のような構造的な脊柱側弯(Structual Scoliosis)に対しては、脊柱をまっすぐに矯正するような対応を行いません。基本的にはカーブをスムーズに保つように対応を行っていきます。
また、一時的な筋肉の緊張や萎縮、骨盤や腰椎の歪みなどの場合による、機能的側弯(Functional Scoliosis)の場合は、早めに対応することによりかなりの確率で改善することができます。
側弯症の可能性を簡単に確認する方法として、アダムステスト(Adam's Test)があります。以下リンク先の記事も参考にしてください。まっすぐ立った状態で脊柱が側弯していても、前傾した際に背中が平らになれば、機能的側弯症と考えられます。
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